夏は台風や大雨、雷などで停電になることが度々あります。
冬には、暖房器具やケトル、電子レンジなどを同時に使用してブレーカーが落ちてしまいがちです。
上記のように予期せぬ停電はいつでも発生するリスクがあります。
停電はパソコンに大きな負担をかけるため、機器の故障やデータの破損に繋がる可能性があります。
特に、近年はパソコンの性能も上がり、必然的にパソコンの使用する電力も大きくなり、ダメージも大きくなっています。
その際に、無停電電源装置「UPS」というものがあるとパソコンやデータを守ることができます。
今回はこの聞きなれない「無停電電源装置 UPS」という物について説明していきます。
無停電電源装置「UPS」とは
無停電電源装置は英語で「Unintrruptible Power Supply」略して「UPS」と言われています。
基本的な機能として、予期せぬ停電はもちろん、入力電源に異常が出たときにも安定した電力を供給して、接続している機器やデータを保護することのできる装置です。
機器やデータを保護するとありますが、UPSのバッテリーが切れる前に安全に電源を切る時間を稼ぐものだと考えるといいかもしれません。
製品によってはポータブル電源としての機能がついているものもあります。
UPSは基本的にバッテリーと制御装置でできています。どのUPSも非常時は電源として使用できる可能性もあります。
実際に私の購入した製品は、停電時を想定して、コンセントを抜いてみましたが、、スマホの充電など余裕でできました。
しかし、これらはポータブル電源として特に推奨はされていないため、使用する際は個人の判断で使用してください。
UPSの種類
UPSにはいろいろなか種類があります。
下記に種類ごとに特徴や使用用途について説明していきます。
常時商用給電方式
通常時はコンセントからの電力をそのままパソコンに使用しながら、バッテリーの充電も行っています。停電時は、バッテリーに蓄電していた電力に切り替えて出力先へ給電する方式です。
切り替えの際、瞬断と言われるとても短い一瞬の停電が起きますが、基本的なパソコンでは対策が入っているため使用にはあまり問題はないようです。
また、UPSメーカーの言う瞬断は電圧が下がる程度で完全な停電ではないようです。
こちらの製品はシンプルな回路構成でできているため、電力ロスが少なく、低コストでコンパクトなのが特徴です。
常時インバータ給電方式
コンセントからの電力を常にバッテリーに蓄電し、常時バッテリーから出力先に給電する方式です。
停電時も変わらずバッテリーから給電されるため、瞬断が起こりません。サーバーや重要度の高いデータを保持したい人はこちらを使用するのがお勧めです。
こちらは構造が複雑なため、電力ロスが大きく、高コストで大型になりがちです。
ラインインタラクティブ方式
停電時の電力供給方式は常時商用給電方式と同じですが、自動電圧調整器といわれる「AVR」装置が入っている事で、常時電圧の変化の影響を受けず安定した電力を供給できます。
単純には、常時商用給電方式の電圧も安定させる機能が付いたものです。
コストやサイズは、常時商用方式と常時インバーター方式の中間位になります。
UPSで使用する電気の基礎知識と「正弦波」「短形波」の違い
UPSを説明する際、電力についての基礎知識が必要になります。
まず、給電方法には直流と交流の2種類があります。
直流は電池やバッテリーなど常に一定の方向に電気が流れる方式です。
対して交流とは、普段コンセントから使う電源のことで、プラスとマイナスが周期的に入れ替わり、電気の流れる方向が変わっていくものです。
交流を簡単に表したものが上の図で波のような形になります。
また、交流電源は西日本が60㎐、東日本が50㎐と分けられていることを聞いたことがあるかと思います。
この㎐とは電気の周波数を表しており、1秒間に何回プラスとマイナスを往復するかということを表しています。
次に、コンセントからの使用する電源は100Vというのはご存じかと思いますが、実はこの100Vはとてもややこしいものです。
この100Vというのは正式には実効電圧が100Vということで、コンセントからの電力の最大値は実は141Vになります。
上の図の1番上のように、141Vのプラスとマイナスを行き来している電気の波を普段コンセントからの電力として使用しています。
この実効電圧は計算で求められますが、簡単に説明すると使用している電力の平均電圧が100Vということです。
最後に交流の波にも種類があります。
大まかに正弦波と矩形(くけい)波の2種類に分けられます。
UPSについてもこの2種類の製品があります。
これらは電源の波の形を表しているもので、上の図にある通り、正弦波は波の波形が滑らかであり、矩形波は角ばった波になっています。
基本的にコンセントからの電力は正弦波なので、UPSを購入する際は正弦波のものを選ぶと良いかと思います。
家電の多くはコンセントから以外の電力使用を想定しておらず、矩形波に対応できず故障に繋がる可能性があるためです。
上記の通りUPSをPCに供給する場合は正弦波の製品を選んでください。
「UPS」の必要性について
停電は精密機器に大きなダメージを与える場合があります。パソコンに至っても同じです。
急に電力供給が絶たれる事で1000分の1mm精度以上で作られているパソコン内部で、行き場を失った電気が異常な流れを発生させる可能性があります。
停電時にたまたま問題がなくても、ダメージがどこかに来ている可能性も考えられます。
良くパソコンでもデータの保存に使うHDDもデリケートな部品であり、機械的に動いている部分があるため、動いている部品が動かなくなったり、異常な動きをしてディスクを傷をつけてしまったり動作不良を起こすことが多くみられています。
また、ゲーミングPCなどの電源容量が大きなパソコンは、その分停電時のダメージも大きくなることが考えられます。
私も急な停電時にメモリやSSDにダメージを負い、パソコンが動作不良を起こした経験があります。
「UPS」は停電時のためのPCの保険という感覚で使用するといいかもしれません。
お勧めのPC用「UPS」と選び方
ではPC用の「UPS」の選び方を説明していきます。
まず、上に記述したことを踏まえて、正弦波のものが良いです。
価格面を考え、普通のパソコンであれば常時商用給電方式を選ぶと良いかもしれません。
UPSを選ぶ際に必要な項目はとして、残りは容量についてです。
容量に関しては接続する機器の容量に合わせる必要があります。
基本的に接続するのはパソコンとモニターになります。
PCはパーツ構成で大きく消費電力が変わってきます。
自作PCを組まれた方は電源を選んだ時と同じように計算していく事になるかと思いますが、UPS選びに限ってはもっと簡易的な計算で良いです。
計算するサイトは多くありますが、ドスパラさんの計算サイトが選ぶ項目も少なく簡易的で素早く計算できます。下にリンクを貼っておきます。
上記でパソコンの合計使用電力の目安が出たかと思いますが、これはあくまで最大負荷時の電力です。
通常使用時はここまで電力を使用しません。
そしてもう一つ、モニターの電力についてです。
モニターの電力は大きさによって変わってきますが、通常のモニター最大50W程、大きなモニターであれば最大100W程かと思います。
私の場合PCが約300W、モニター約50Wで合計は350Wになりました。
これらは消費電力の最大値なので、これに近い消費電力のものを選べば問題ないかと思います。
心配な方は大きめの容量を選べば良いかとおもいます。
容量が大きい物を選べば給電時間も多少長くなります。
メーカーもたくさんあります。
私は日本製で名前も有名なOMRON社製の340Wの物を購入しました。
停電時を想定し、電力をカットしてみましたが、問題なく使用できました。
まとめ
UPSは停電時にしか効果を実感しにくい点や、選び方が難しい点、高価な点など、購入しにくい製品かもしれません。
しかし、高級なパソコンや大事なデータを守る上で、保険として使用した方が良い製品でもあります。
冬であれば暖房や調理器具使用、夏であれば台風などの天候による停電、他にも雷で起こされる停電や異常高電圧にもUPSで対応できます。
また、UPSには停電時に自動で安全にPCをシャットダウンしてくれるソフトが付属しているものがあります。
私の購入したものにも付属しており、予期せぬ停電時はPCを操作しなくても良くなります。
このソフトを使用すると便利かもしれません。
私は日本製で名前の有名なOMRON製品を購入しました。
OMRON製品は信頼性もあり、お勧めします。
この「UPS」ですが、決して安いものではありませんが、パソコンやデータ保護のため、金銭に余裕がある時に購入しとくといいかと思います。
下記に私のお勧めする製品のリンクをいくつか載せておきます。
それでは、また次回。